道明 唯位 さん
NATICデザイナー
第2回は、ブランド設立時から一貫して“マリン”をコンセプトに服作りを続けてきたNATICのデザイナー道明唯位さんに、ブランドのルーツについてお伺いしました。HUMAN WOMANでは、NATICのウエアをセレクトアイテムとして販売するほか、20周年を記念したコラボレーションアイテムも完成。
子供の頃から海が
好きなんです。
年に一度は沖縄の離島を訪れます
海軍をコンセプトに掲げて20年。幼い頃の思い出が道明さんにとって海を特別なものにしているようです。「子供の頃から海が好きなんです。もともとは、母親の実家が琵琶湖のそばだったので、帰省すると、朝からおじさんがボートで釣りに連れて行ってくれて、昼はシジミ採り、夜はそれをバーベキューで…と楽しい思い出がありまして。琵琶湖は波もあるし、海のようなものなんです。ここ数年は、年に一度は沖縄の離島を訪れて、ただ海を眺めて、お酒を飲んで帰ってくるという(笑)。たまにヨットに乗ったりもします」
インターネットが今のように身近ではなかった頃に苦労して集めたミリタリー関連の書籍。今でも読み返す大切な資料のひとつ。中面ではボタンやワッペンに至るまで細かく解説されている。
街で着られるマリンウエアを
作ってみたいという気持ちから
スタートしました
「いい服を作るためには昔の服をよく見ること」。先輩たちの言葉をきっかけに古本屋を巡ってファッションに関する本を集めるように。「なかでも軍モノに惹かれた理由は、生死をかけた服なので、ひとつひとつのディティールに深い意味があるからなんです。意味を持たないディティールはないとも言える。陸海や空軍をコンセプトにしたアパレルメーカーは多いけれど、海軍をコンセプトにしているところはほとんどなくて。海が好きだったのと、街で着られるマリンウエアを作ってみたいという気持ちからNATICをスタートしました」
HUMAN WOMANとNATICは、
品がよくて、トラディショナル
という点で似ている
HUMAN WOMANとのお付き合いは8年ほど前からスタート。「昔と今ではちょっと違うのかもしれませんが、僕の思うHUMAN WOMANといえば、白と紺のフレンチスタイル。品がよくて、トラディショナルという点においては、NATICとも考え方が似ているところがあるのかなと。非常に共感できます」
僕だけでは作れないものを
作ることができる。それが、
コラボのいちばんいいところ。
2014年に続いて2度目となる今回のコラボレーション。「どんなアイテムを作るのかといった大まかな方向性を決めていただいて、僕が生地やディティールを提案する方法をとりました。シャツであれば、NATICオリジナルよりも細番手の糸を使って柔らかく仕上げたり、ワンピースのバックを二重のボックスタックにして裾にかけてたっぷりとした分量感を出してみたり。僕だけでは作れないものを作ることができる。それがコラボのいちばんいいところですよね」
1998年、NATICをスタート。ブランド名は、NA=NAVAL(海軍)、T=TECHNIQUE(技巧)、I=INNOVATIVE(革新)、CONCEPT(概念)の頭文字から。立ち上げ当初から現在に至るまでマリン(海軍)をコンセプトに街で着られるカジュアルウエアを展開している。
Credit
- Photograph : Mariko Watanabe
- Text : Hiromi Kajiyama
- Edit : Kaoru Adachi