山﨑 美帆さん
イラストレーター
第3回は、淡く柔らかな色やタッチが持ち味のイラストレーター山﨑美帆さん。HUMAN WOMANでは、2018春夏のシーズンテーマ“GARDEN PARTY”にあわせて、山﨑さんとコラボレーションTシャツを制作しました。10年ほど前からコレクションしているという小さな楽器についてお伺いしました。
おもちゃとして売られている
楽器と違ってどれも個性的な音が
出るんですよ
この日、山﨑さんが持ってきてくださったのは直径10センチ足らずの小さく愛らしい笛でした。「集め出したのは10年くらい前。自宅には全部で10個以上持っていて、どれも蚤の市や古道具店で購入したものです。コレクションする基準は見た目にかわいらしさがあって、実際に音が出ること。既製品のおもちゃとして売られている楽器とは違って、どれも個性的な音が出るんですよ。たまに、絵を描いている手元をプロジェクターで投影しながら自分で音を鳴らすライブペインティングを行うことがあるのですが、そういうときに吹いたりしています」
干支をかたどった民芸品、「満州」と描かれたものなど、生産された国も時代も様々。『風の谷のナウシカ』に登場する蟲笛とそっくりな笛は、松本のクラフトフェアで手に入れたそう。紐を手に持ちブンブンと勢いよく回して音を鳴らします。
絵を描くのと音楽を奏でるのは
似ているところがあるんです
「小さな頃からピアノを習い、学生時代は吹奏楽部でパーカッションを担当するなど、山﨑さんにとって楽器や音楽は身近な存在だったようです。「絵よりも音楽の方が馴染みがありましたね。もちろん、昔から絵も好きで描いていましたが、絵の勉強をするのもいいかなと思って学校に入ったのが大学卒業後なので。絵を描くことと音楽を奏でることって似ているところがあるんです。頭に浮かんだふわふわっとしたイメージを色や線に置き換えるのか、音に置き換えるのかの違いがあるだけで。描こうとしている絵のイメージを膨らませるために、この曲の感じを出したいなとか、音楽がヒントになることもあります」
ヤギを見に行ったことがきっかけで
コラボレーションの絵が思い浮かびました
幼い時の思い出や日常の出来事が作品のインスピレーションになることが多いそう。「生まれたのが長野の上田市という山に囲まれていた場所だったからか、風景を描く時も自然と山が多くなります。私の絵には海が登場することはほとんどないんですよね。あとは、猫を飼っているので、自然と猫の絵が増えていったり。今回のHUMAN WOMANさんとのコラボレーションでは、“GARDEN PARTY”というテーマをいただいて、まずは春っぽい感じを想像しました。ちょうどコラボレーションのお話をいただいた時期にヤギを見に行く機会があって、それがきっかけで女の子たちがヤギを新しい友達として迎え入れている風景を描くことにしました。右上の“new friend has come”は、“Spring has come”とかけているんですよ(笑)」
山﨑さんの作品集。数種類の紙を使って、自ら製本した冊子は、どれもページをめくるのが楽しくなる、変化に富んだ作りになっている。山﨑さんのウェブサイトから購入もできる。
HUMAN WOMAN × MIHO YAMAZAKI
長野県上田市出身。大学卒業後、仕事のかたわら、セツ・モードセミナーで絵を学ぶ。現在は長野県松本市を拠点に、雑誌、書籍、広告、CD・LPジャケット等のイラストを手がけている。6月に松本のGargasで個展を開催予定。
STAFF
- Photograph : Mariko Watanabe
- Text : Hiromi Kajiyama
- Edit : Kaoru Adachi